アダコテック技術ブログ

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MIRU2024参加レポート ~アダコテックの技術と外観検査のインターンを紹介しました~

画像に関する国内会議であるMIRU2024にシルバースポンサーとして参加しましたので、ご報告します。われわれの技術紹介を行うとともに、画像の研究を行っている学生に向けてアダコテックでのインターンのご紹介をしました。

MIRUとは

MIRUは、情報処理学会コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)研究会が主催する画像の認識・理解シンポジウムです。毎年夏に開催されており、画像に関する技術研究の国内最大の会議です。

今年は熊本城ホールにて8月6日から8月9日の日程で行われました。年々参加者数が増加しており、今年も1,500名以上の方が参加し、600件以上の発表が行われました。来年は京都国際会館で2025年7月29日から8月1日に開催されます。

 

展示内容

今回の展示内容は、人工知能学会の展示と同様に、HLACを用いた外観検査プロダクトに関するものでした。アダコテックでは、工場のような制約の多い環境でも迅速な検査が可能であることを重視し、古典的な技術を主に使用しています。展示では、最新技術を用いた外観検査とは異なる点についても詳しく説明しました。また、モデルの初期学習時や再学習時の学習画像の選定を補助するツールなど、運用サポートプロダクトについてもご紹介しました。

techblog.adacotech.co.jp

MIRUでは、アダコテックでのインターンについてのチラシも配布しました。現在われわれは最新技術と古典技術を組み合わせた外観検査技術開発をインターン生と共に進めています。生成AIのような最新技術と古典的な特徴量を融合した実際の工業製品の異常検知に興味をお持ちの方は、ぜひご応募ください!

herp.careers

展示を終えて

今回はアダコテックでインターンをしている学生にもブースに立ってもらいました。学生の生の声を直接聞けたためか、人工知能学会の時よりも学生がブースで足を止めてくださる機会が多く、インターンの宣伝を多くの方に行うことができました。

また、HLACのようなハンドクラフト画像特徴量は今ではほとんど使われないこともあり興味を持ってくださる方が多く、われわれの技術紹介を広くできたとの感触を持ちました。

今回はHLACに関する紹介のみでしたが、最新の画像認識技術に関する話題をポスターに盛り込んだほうが良かったと感じる場面もありました。現在進行中の最新技術と古典技術を融合した技術開発についても紹介していれば、最前線の研究者とより深い議論ができ、学生にもより興味を持ってもらえた印象です。来年のMIRUでは、われわれの最新技術に対する取り組みもご紹介できればと思います。

たくさんの学生さんが来てくださいました!

聴講してみて

1日目のチュートリアル

佐藤育郎先生のお話にあった、自動運転のEnd-to-End型かモジュラー型かといった議論は、アダコテックでのシステム設計に通じる部分があり、大変刺激的でした。また、大谷まゆ先生の講演では、モデル最適化指標の開発についてちょうど悩んでいた点に関する解説がなされており、参考になりました。大谷先生の最後のメッセージからは、評価指標のあるべき姿について考えさせられ、人工知能の発展の歴史の面白さも感じることができました。

オーラル発表

オーラル発表に選ばれるハードルは高いと聞いていたのですが、どのオーラル発表もとてもレベルが高く驚きました。画像処理技術だけでなく分光フィルターなどの撮影手法に関するレベルが高い発表が見られたのも印象的でした。

インタラクティブセッション

オーラルで話されていた内容を含めて多数のポスター発表が行われ、様々な内容についての情報収集を行えました。異常検知についても下で参加エンジニアたちからの紹介にあるような多くの発表がなされており、学びが多かったです。興味深かった発表を一部紹介します。

IS-1-074 疑似ランダムラベルで学習されたロジットのL2ノルムに基づく分布外検知

概要

・学習できていない未知データに対して"未学習"を検知するための手法 ・既存のMSP(最大ソフトマックス確率)と比較して、ソフトマックスの1層前のロジットのL2ノルムを測定したほうが分布外検知の精度が高いことを示した

感想

・機械学習モデルが何を知らないかを知ること(無知の知)は、モデルの追加学習の判断や、大規模言語モデルではハルシネーション対策に必要な非常に有意義な研究 ・モデルの最終出力で分布外を評価するのではなく、ソフトマックス前のニューロンの不活性状態で評価する提案手法は他のネットワーク構造でも応用できそうな示唆を与える ・分布外のデータには疑似ランダムラベルを与えることで、従来のクラス分類の損失関数(クロスエントロピー損失)でシンプルに学習できる点も良い

IS-2-072: 良品特徴分布に基づく領域分割による少数ショット異常検出

概要

少量サンプルでも安定して動作し、高い性能の異常検知を実現する手法についての発表でした。発表の中ではPatchCoreとPaDiMそれぞれのモデルの強み・弱みを分析し、双方の良いところを取り入れた手法を提案されました。画像を分割して得た特徴量をクラスタリングし、クラスターに応じて画像の領域を分けることで、少量の学習データでも高い異常検知性能が得られることを示しました。

感想
アダコテックではちょうど学習画像の数を減らす方法を探っているところだったため、ポスター発表の中で多くの情報交換ができたのはありがたかったです。発表内容のように、画像の異なる領域で得たHLACを統合してモデルを学習する手法も検討中であり、われわれの技術開発の参考にしたいと思いました。

今後の活動予定

MIRU2024で得られた情報を基に、お客様の課題解決につながる技術開発を進めていきたいと考えています。来年のMIRUには、その技術開発の中で得られた研究結果を発表したいと思います。ご興味のある方は、ぜひ発表にお越しいただき、議論を交わせると幸いです。

また、上でもご紹介しましたがインターンも随時募集していますので、ご興味のある方はぜひご応募ください!

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